過去の未払い養育費を請求する方法

未払い養育費請求の流れ

離婚協議書や公正証書、調停調書などで、養育費の支払義務を具体的に取り決めしていた場合には、時効にかかっていない限り、過去にさかのぼった養育費の請求が可能です。

手続きの順番

  1. 内容証明郵便で請求
  2. 財産開示請求
  3. 強制執行

催告書の送付

「20XX年X月~20XX年X月までの未払い養育費○○万円を支払ってください。支払わない場合は法的手段を検討します」という内容の催告書を内容証明郵便で相手に送付します。

内容証明郵便とは「誰が」「いつ」「誰に」「どんな内容」の郵便を送ったのか、日本郵便が証明してくれる送達方法です。

これにより、相手が「知らない」「受け取っていない」と言い逃れしようとするのを防ぎます。

勤め先に養育費を滞納していることを知られたくない場合、この段階で支払ってくれることもあります。

財産開示

催告書を送付しても払ってくれなかった場合、強制執行の準備として、どの財産を差し押さえるのか決めるために相手の財産を調べる必要があります。

財産開示請求の手続きは、相手の住所地を管轄する裁判所に申立てしなければなりません。

公正証書や調停調書に記載されている住所から引っ越している場合、住民票や戸籍の附票によって現住所までの繋がりを証明する必要があります。

申立手数料(収入印紙)2,000円
その他に予納郵便切手等が必要となります。

強制執行

強制執行に必要なもの

  1. 申立書
  2. 債務名義正本
  3. 送達証明書
  4. 法人の資格証明書
  5. 申立手数料
  6. 郵便切手
  7. 住民票・戸籍謄本

申立書

債権差押命令申立書

債務名義正本

判決正本、公正証書正本、調停調書正本等

送達証明書

債務名義正本(謄本)の送達証明書。審判書の場合、確定証明書も必要になります。
判決なら地方裁判所または簡易裁判所、公正証書なら公証人役場等に送達証明申請を行い取得することができます。

法人の資格証明書

第三債務者(給料や預金)に対して強制執行を行う場合、2ヶ月以内に発行された商業登記事項証明書が必要になります。
法務局の商業登記の係で申請でき、申請してすぐに発行されます。
申請料金は印紙で600円(法務局内で購入可能)です。

申立手数料

申立手数料は、収入印紙 4,000円

郵便切手

2,872円分の切手(内訳:1,145円切手2枚、404円切手1枚、84円切手2枚、10円切手1枚)が必要です。
執行費用は差押成功すれば差押金額にプラスして戻ってきますが、執行費用として認められるのは2,788円となります。

住民票・戸籍謄本

住民票は、債務名義記載の住所から転居して、現住所と債務名義に記載された住所が異なっている場合、その住所のつながりを証明するために必要です。

戸籍謄本は、債務名義記載の氏名と現在の氏名とが違っている場合、その氏名のつながりを証明するために必要です。

住所・氏名の変更がない方は、この書類は不要です。

強制執行した後の流れ

陳述書

強制執行に必要な書類を提出した後ですが、例えば給与を差し押さえした場合、相手の勤め先から「陳述書」が届きます。
この陳述書には、現在雇用しているかどうか、給料・賞与はいくらなのかが書かれています。

強制執行に失敗するケースでは、この陳述書で「過去に雇用したことがある」にチェックが入っている(辞められた)ことで分かります。
こうなると取り下げをして、また勤め先を探すことからやり直しになります。

債権差押命令

強制執行に成功すると、裁判所から「債権差押命令」という書類が届きます。
これは養育費の強制執行の申立てをするにあたり提出した書類の正書になります。

送達通知書

債権差押命令と一緒に、「送達通知書」も届きます。
これは相手も差押えについて承知していますよ、という証明になります。

送達通知書の日付から1週間経過していれば差押えが可能です。

相手の会社に連絡する

その後は相手の会社に連絡して養育費の振込先(銀行名、口座番号等)を伝えます。
相手の勤め先の事務処理の方法にもよりますが、訪問して書類に記入するか、FAXするような流れになります。

裁判所に報告

入金を確認したら、裁判所に報告する必要があります。
裁判所に提出する書類は強制執行の手続きの時に貰っているはずなので、それに記入して提出することになります。

養育費を適切に確保するために


相手の性格や給料にもよりますが、強制執行後は転職する可能性が高く、辞められたらまた1からやり直すことになってしまいます。

養育費を継続して確保するためにも、どのような手段で支払ってもらうのが良いのか、一度専門家に相談されることをお勧めします。

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消滅時効

時効が5年の取り決め

当事者間の協議離婚合意書
公正証書

養育費は一般的に毎月定額が支払われます。

毎月発生し、5年経つと毎月順々に消滅していきます。

例えば2017年1月から月々5万円の養育費支払いの取り決めをしたとします。

すると2022年1月から毎月5万円ずつ時効により消滅していき、2022年6月には合計30万円の養育費が時効消滅します。

時効が10年の取り決め

調停調書
確定判決

離婚調停や養育費調停・審判、離婚訴訟などの裁判所の手続きによって養育費が決められた場合、時効期間は10年となります。

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取り決めがなければ過去の未払い分は請求できない

支払う側が納得して合意してくれるなら、取り決めがなくても過去にさかのぼって養育費を払ってもらうことはできます。

合意ができなければ家庭裁判所で調停・審判の手続きをすることになりますが、この場合だと過去にさかのぼっての請求は認められません。

養育費の支払いがなくても生活してこれたという事実がありますし、未払い期間によっては100万円以上などの多額となり、支払い義務者にとって酷であろうという理由からです。

非養育者の逃げ得にさせないためにも、一刻も早く養育費の取り決めをする必要があります。

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-養育費を払ってもらえない時の対処法